ライオンとブチハイエナの学校 ― 協力と粘り強さの学び(研究レポート77)
この記事でわかること
アフリカのサバンナで暮らすライオンとブチハイエナ。
彼らの「子ども時代の学び」を比較することで、人間の学校教育や社会のあり方にも通じるヒントを探ります。
ライオンの学校:協力を学ぶ教室
ライオンの子どもたちは、兄弟や仲間とじゃれ合いながら噛む力や俊敏さを磨きます。
成長すると母ライオンの狩りに同行し、獲物を追い込む役や待ち伏せの位置取りを習得していきます。
・狩りはチームワークの成果
・「仲間と動きを合わせる力」が生き残りの鍵
研究によると、ライオンの群れが狩りをする際、単独の成功率は約20%以下ですが、群れで協力すると倍近くに上がると報告されています。これは「協力を学ぶこと」が生存に直結することを示しています。
やがてオスはプライドを離れ、兄弟や同世代のオスと連合を組んで新しい群れを目指します。
まさに「学校を卒業して新しい社会へ旅立つ」姿です。
ブチハイエナの学校:順位と粘り強さを学ぶ教室
一方のブチハイエナ。母系社会のため、子どもの立場は母親の順位に大きく左右されます。
・高い順位の母 → 餌に優先的にありつける
・低い順位の母 → 工夫しなければ生き残れない
彼らは大人の狩りに同行し、長距離の追跡や持久戦を体で覚えます。
一方でブチハイエナは持久力のハンターとして知られ、数キロにわたって獲物を追い続ける観察記録があります。ときにはライオンの群れすら追い払い、獲物を奪うこともあるほどです。その粘り強さは、幼いころからの社会的な順位争いと無関係ではないでしょう。
やがてオスは群れを離れ、他の群れに加わることを目指します。最初は低い地位からスタートし、少しずつ信頼を得ることで受け入れられていきます。
二つの学校から見える学び
・ライオンの学校:協力を通じて生き残る力を磨く
・ブチハイエナの学校:社会のルールと粘り強さを磨く
どちらも「学校」だけれど、そのカリキュラムは大きく異なります。
共通しているのは、「子ども時代に群れの中で学ぶこと」が生存戦略に欠かせないという点です。
人間社会への示唆
人間の学校でも、「協力」や「社会のルール」を学ぶ機会は多いはずです。
勉強の内容以上に、仲間との関わりや役割の中で育まれるものがあるのではないでしょうか。
👉研究によれば、動物の遊び行動は「将来に必要なスキルの練習」と考えられています(動物行動学の観察研究より)。
つまり、ライオンやハイエナと同じように、人間も「遊びや学校生活」を通じて社会に必要な力を養っているのです。
今日の気づき
ライオンは協力を、ハイエナは粘り強さを。
群れの中での「学校」は、命をつなぐための必修科目だった。
あなたにとって子ども時代の“学校”で一番学んだことは何でしょうか?
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