「愛しい噓~優しい闇」に見る人の心「人は信じたいことを信じる」

2022年2月7日

いま放送されているテレビドラマに

 「愛しい噓~優しい闇」

っていうのがあるんです。

これはいま人気の波留さんが主演するドラマで、ミステリー系です。

そのドラマの中で、人の心の面白い動きをひとつ見つけました。

それは

 《人は
  信じたいことを信じる》

ドラマの主人公は波留さん演じる望緒(みお)ちゃんです。

その望緒ちゃんは、友人の優美さんが旦那さんからDVを受けているようだ、と疑うんですね。

ある時望緒ちゃんは、優美ちゃんが旦那さんに首を押さえられたまま

 「あの日のこと
  しゃべらなかっただろうね」

と、怖い声で問い詰められて、とっても怯えているところを目撃してしまいました。

優美ちゃんはどうやら腕も怪我しているようでした。

望緒ちゃんは優美ちゃんに

  私にできる事があれば
   なんでも協力する

と言ってました。優美ちゃんが心配でたまらない様子です。

そんな望緒ちゃんに対して、

ある事件を殺人事件じゃないかと疑って調査をしていた友人の玲子さんが

  殺人のあった現場には

  優美ちゃんも一緒に

  行っていた可能性が高い

という情報をつかみ、《優美ちゃんが犯人だ》という可能性を口にしたんですね。

望緒ちゃん以外の友人たちは、この時はまだ優美ちゃんの現在のことは詳しくは知っていません。

ここで望緒ちゃんや友人たちがどう反応するか、がこのブログのテーマだったんですが、

  あなたはどう想像しますか?

ここはきっと、あなたの想像通りですね。

 他の友人たちは
  「優美ちゃんが犯人の
    可能性がある」と思った

 望緒ちゃんは
  「優美ちゃんが犯人の
    はずがない」と思った

ですね。

でも、考えてみればこれは当たり前で、ありふれた考え方の気がします。

たとえば子供たちが外でケンカをした。

そして、どちらの子もちょっとした怪我をした、なんていう時、

それぞれの子供の親たちが

  どっちの子が悪いのか?

を考える場面を想像すれば、もう当たり前ですね。

どっちの親も

  「悪いのはあっちの子だ。
   わが子は悪くない」

って思うのが、ごくありふれた親心でしょう。

結局は、自分に都合よく考えちゃうということなんだと思います。

ドラマの中の望緒ちゃんも、つい親心が起きちゃったんだと思います。

 「玲子は 優美のこと 疑ってるの?」

なんて、一生懸命反発してました。

ところで、この心の動きは、放送大学の社会心理学で登場した

  ポジティブイリュージョン

という現象に似ています。

社会心理学のテキストの説明では、

  「精神的に健康な人の認識は
   必ずしも正確とは言えず、

   むしろ、客観的な現実よりも
   一貫してポジティブな方向に
   歪んでいる」

なんていう研究結果が報告されているんだそうです。

そしてこのポジティブイリュージョンは、なんと

  人の健康に役立っている

という説明もありました。

精神的な健康だけじゃなくて、身体的健康にも役立っていたり、

人間関係を良好に保つのにも役立っていたりと、結構いいことなようですね。

こんな風に役に立っているからこそ、進化の結果として

人の心に「ポジティブイリュージョン」のような気持ちが本能としてできたんですね。

自分があと何年生きられるか、なんていうことを正確に知るよりも、

そんなことは知らずに、

  自分はまだまだ

  あと何年も何年も生きることができる

なんて最後までポジティブイリュージョンを持てた方が、私もいいです。

ところで、この「ポジティブイリュージョン」というか、

自分に都合よく考えたいと思う気持ちをうまく利用した考え方があります。

それは

  「占い」

です。

私の尊敬している人に、石井裕之さんっていう方がいますが、

その石井さんが

 「あるニセ占い師の告白」

っていう本の中で、占い師が何をするのかを書いてくれていました。

その中の一つに

  カモのずるさを
   正当化する言い訳を与えてやれ

っていうのがありました。

ちなみに、カモっていうのはお客さんのことです。

石井さんが、

 「占い師のところにやって来るお客さんは、
   いったい何を求めているんだろう?」

っていうことについていろいろと考えた結果分かった結論は、

  カモが本当に求めているものとは?

  それは、
   言い訳だ!

ということだったそうです。

たとえば何か良くないことが起きたっていう時、

自分自身に問題があるとか責任があるなんていうことは認めたくない、

ということで、良くないことが起きている原因を

  前世が悪かったから

と、前世のせいにしてしまう、なんてありました。

前世のせいにしてしまえば、本人はちっとも悪くないだけでなく、周囲の誰にも責任を負わせない。

ということで、安心できるんですね。

  言い訳!

つまり、

  自分にとって都合のいい考え方

  信じたいこと

をお客さんに与えてあげることで、お客さんは安心し、納得できるっていう理屈ですね。

もちろん、いきなり

  前世が悪いから

   こうなった!

なんて言っても、誰も信じてはくれませんが、そこは百戦錬磨の占い師さん、

何度も会って、そのたびにコールドリーディングのテクニックを使って

少しずつ信頼を深めていった後での言葉で、喜んで信じてもらえるようです。

ちなみに、

  結婚詐欺!

にもこの原理が関係しているようですよ。

何度もダマされてもダマされても、

相手の言葉の中に、自分が心から願っていることが入っていると、

ついつい、その言葉を信じてしまうんだそうです。

  ご用心を!

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Posted by polkasmile