正義感と罪悪感、愛しい噓~優しい闇の弁護士本田玲子さん

ドラマ「愛しい噓~優しい闇」の中で弁護士の玲子さんが先生から

  お前は正義感が強い

って言われてました。

この正義感って何なんでしょうね。

でも、この正義感って誰の心にも当然のようにありますよね。ただ、強いか弱いかが人によって違っているだけなんですよね、きっと。

あの玲子さんでも、正義感を発揮できなかったことがあったわけですから。

正義感、コトバンクやweblio辞書などで調べたら

 「不正を憎み、正義を尊ぶ気持ち」

とありました。

  正義や不正っていったい何だ?

っていう話は置いといて、正義を尊ぶっていう気持ちって、誰にでもありますよね。

  大義名分

なんていう言葉があるじゃないですか。

これは、これからしようとしていることは「正義」なんだ、っていうことを自分たちに言い聞かせてるんですよね。

基本、誰でも「正義」を行わなきゃいけないっていう気持ちがあるから「大義名分」っていうことが重要なんだと思います。

中国の孔子も、「戦争で大事なこと」の一番に、「道」を挙げてたんですが、これって結局は大義名分のことのようでした。

なので、「正義感」はほとんどの人にある心、つまり人の本能なんだと思います。

ネットのニュースだと、以前

インドで「牛肉を食べた」という噂がたったこと原因で、ある人が100人以上の村人に襲われて死亡するっていう事件があったそうです。

普通に考えると、「何てひどいことを!」って感じちゃうと思うんですが、

もしかしたら襲った人たちはそれが「正義」と信じて襲っちゃったのかもしれないですよね。

 正義感が強い? 弱い?

でも、正義感が強いか弱いか、はどうやって決まるんでしょうね。

「愛しい噓~優しい闇」の中での弁護士の本田玲子さんの正義感が発揮できなかった時のことを考えてみましょう。

 怒られるのが怖い…

玲子さんたちが中学生のころ、友達4人と花火で遊んでいたら、その花火が誤って友人の家の方に飛んで行き、バンっと弾けてしまったんですね。

そして次の日、その友人の家が火事になってしまい、友人の両親が亡くなってたことを玲子さんは知るんです。

玲子さんたちは前の日、花火が友人の家の方で弾けたのを見た後で、みんなで家に帰ってしまってたのです。

その時のことを玲子さんは

 「あの時 ちゃんと確認しに行ってれば
  火事には ならなかったかもしれない…
  中野くんの両親は
  死なずに済んだかもしれない…」

でも
 「怒られるのが怖い…
  そんな理由で家に帰ってしまったんです。」

って言ってました。

その後、玲子さんは司法試験に合格したことを、大好きな田村先生に報告したかったけど、結局は報告できなかったようでした。

 「本当は 司法試験に合格した時
  誰よりも先に 先生に伝えたかった。

  でも できなかったんです…
  私 先生に褒められる資格なんて
  なかったから…」

これは、「罪悪感」ですね。「正義」を果たせなかったという「罪悪感」ですよね。

じゃあ、どうして玲子さんは「正義」を果たせなかったんでしょう?

っていえば、それは誰かに「怒られる!」っていう

  恐怖心

があったからですよね。

怒られると怖いっていう「恐怖心」や正義を果たせず誰かに危害を加えてしまったっていう「罪悪感」も、正義感と同じく本能なんだと思います。

玲子さんはお父さんかお母さんか、あるいは他の誰かに怒られて怖い思いをした経験があるんでしょう。

その結果、「恐怖心」が「正義感」を上回ってしまったんだと思います。

こんな時、「正直に話してくれて、偉いよ。どうすればいいか、考えよう」みたいに言ってもらえた経験が多かったとしたら、恐怖心よりも正義感の方が勝ったのかもしれません。

こんなことを考えると、「正義感」、「罪悪感」、「恐怖心」みたいな心はすべての人に共通する本能で、

たくさんの本能のせめぎあいの結果、その人の行動が選択される、ということなんじゃないかと思います。

そしてどんな行動が選択されるのかは、その人の経験によるんだと思います。

そうすると、

  正義感が強い? 弱い?

っていうことは、やっぱり遺伝ではなくて、生活の中での経験で決まるんじゃないでしょうか。

つまり、人に共通の本能は遺伝ですが、どの本能が優先して選択されるのかは経験と状況で決まるんだと思います。

 催眠暗示の効果

あと、玲子さんの場合、正義感が人一倍強いっていうことに関しては、恩師の田村先生の影響もあるかもしれません。

玲子さんは中学校の時、進路相談で田村先生にこんなことを言われてました。

 「本田は成績もいいし判断力もあるから
  弁護士なんか向いてるんじゃないか?

  それに 人一倍 正義感も強いしな。」

この「人一倍 正義感も強い」っていう田村先生の言葉は、決してお世辞やおだてではなくて、先生の「本心」ですよね。

この本心からの言葉は結構強い催眠暗示の効果があると聞きます。

このことが実験で「ピグマリオン効果」として確かめられているそうで、

先生が

 「この生徒の成績は伸びる」

と本当に信じ込んだら、本当にその生徒の成績が伸びたっていうことが実験の結果確かめられてたそうです。

この実験はいろいろ状況を変えてやったそうですが、先生が素直に信じ込めないやり方だとうまくいかなかったみたいでした。

たとえば、先生と生徒の付き合いがもう長いのに、突然「この生徒は将来成績が伸びる」なんて言われても、先生としても素直には信じ込めなかったみたいで、この時の実験は失敗してました。

こんな、田村先生のようないい先生に出会って、玲子さんの正義感も育ったっていう気もします。

火事になった中野幸くんの家に行って、あらためて自分の罪の大きさを突き付けられた玲子さんでした。

 「私たちの犯した罪は
  重過失致死罪と重過失失火罪っていってね

  時効は10年
  もう 罪を償う事もできない

  だから 私たちは
  自分たちなりのやり方で
  罪と向き合うしかないの」

正義感の強さがまた、罪悪感の強さにも影響を与えているのかもしれません。

そして、その罪悪感を少しでも和らげるものが「罪の償い」なんでしょうね。

それにしても田村先生、さすがでした

玲子さんの罪の告白を聞い時、田村先生が玲子さんに言ったのは

 「本田 やっぱり お前
  弁護士に向いてるよ。

  過ちに向き合うってのは
  簡単なことじゃない。

  立派だよ。」

でしたね。

複雑な事実の中から、玲子さんが将来に向かって進むことのできるポイントに焦点を当てて話してますね。

よく「褒めて育てる」なんていうことが言われますが、この「褒める」っていうのは、

 「褒めるべきところを

  見つけ出してあげる」

ことなんでしょう。

見つけ出してしまえばその後は、その褒めるべきところを普通に話せばいいだけなんだと思います。

その点でも、田村先生は「褒めて育てる」ことのできる先生なんだなと感じました。

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Posted by polkasmile