こんな嫌な女、死んじまえ!「愛しい嘘~優しい闇」に見る人の心

2022年2月7日

テレビを見ながら、

  なんだ、こいつは!

  こんな嫌味な女、死んじまえ!

なんて、登場人物のりえちゃんに腹を立てちゃってた私がいたんですが…

先日のテレビドラマ

  「愛しい嘘~優しい闇」

の第1話のほぼ最初のシーンでした。

主人公の望緒(みお)ちゃんと、同僚のりえちゃんとの会話があったんです。

あ、

これ、ちょっとネタばれありますので、ご注意くださいね。

その問題のシーンっていうのは、

りえちゃんが描いた漫画のことで、望緒ちゃんとりえちゃんとの、こんなやりとりの場面なんです。

 望緒:でね りえちゃん この漫画の
     ストーリーなんだけど…。

 りえ:好評ですよ!
    次は いよいよ
     連載も進めようって
    担当さんに言われてるんです

 望緒:あっ… ま… 前にさ
     私が構想中だったネタ
    りえちゃんに相談した事
     あったじゃない?

    あの… その話と
     すごく似てるっていうか…

    はっきり言って
     これって パクリ…

って、りえちゃんにちょっとした抗議をしたんですね。

そしたらりえちゃん、逆ギレしちゃって、

最後には立ち上がって、テーブルを両手でドンって叩いて、望緒ちゃんに

 「謝ってください!」

って迫っちゃったんです。

ドラマはこの後、可哀そうに気弱な望緒ちゃんが、結局はりえちゃんの勢いに押されて

 「すみませんでした。」

って、小さくなって、うつむきながら謝っちゃったんですね。

内心では、自分は悪くないのにっていうか、むしろ被害者なのにって思ってるんですが、

このドラマを見ていた私はと言えば、

  『このりえっていう女は、

   なんて嫌なやつなんだろう!』

と、まあ、少なくともその時は、素直にそう思っちゃったんですね。

たぶん、このドラマの最初を見ていたあなたも、同じように感じたんじゃないかと思いますよ。

でもねぇ・・・

後で、考えてみたんですけどねぇ・・・

どうして「りえちゃんは嫌なやつ」って思っちゃったんだろう?

っていうよりも、これは、「思った」んじゃなくて、このドラマの作者に

  りえちゃんは嫌なやつだって、

   思わされた!

っていう方が正しい気がしてきたんですね。

じゃあ、どうしてそう思わされちゃったんでしょうね。

ドラマの作者の手のひらの上で泳がされちゃった!みたいな気がしてきたんです。

問題のこのシーンは、第1話のほぼはじめのシーンなんですが、

きっと、ドラマの出だしにヒントがあるに違いない、

なんて思いながら、ドラマを最初から見直すと、

このドラマの始まりは、主人公の望緒(みお)ちゃんのナレーション

 《ある人が
   こんな言葉を教えてくれた

  1つの嘘は 7つの嘘を生む》

っていうお話から始まってたんですね。

もう一度繰り返しますよ

  望緒ちゃんのナレーションから

   始まっていた

っていうことだったんですよ。

どうも、このあたりに私の心が作者の手のひらに乗っちゃた秘密がありそうな気がしてきました。

このナレーションを聞きながら、

  望緒ちゃんは私だ!

と思わされちゃったんじゃないかな、っていう感じですね。

もし、仮にですよ、

仮に、このドラマのはじまりがりえちゃんで、そのりえちゃんが

  一生懸命、夜も寝ないで漫画を描いている

  でも納得がいかず、
  一度書いたものを破りすててから、
   また描きなおす

  苦しみながらも、ついにある日
   とうとう納得のいく漫画が完成し

  ドキドキしながら、
   担当さんのところに持っていく

  担当さんにいいねと言われ
  次は連載も、と言われ
   大喜びで、望緒先輩に報告する

みたいなシーンから始まってて、問題の二人の会話のシーンに続いたら、

二人の会話のシーンはまったく同じでも、こんどは望緒ちゃんの方を

  望緒ちゃんって、

   なんて嫌なやつなんだ!

なんて思ってたかもしれないなぁ、っていう気がしちゃたんですね。

こんどはドラマの中のりえちゃんが私ですね。

私がこんなに苦しんで仕上げた作品を、

褒めてくれるどころか、「パクリだ」なんて、

  なんてひどい言いがかりかしら?

みたいな気持ちになりそうですよね。

これ、心理学の中にも

  同じ人の顔を見れば見るほど

  その人に好意を感じる

なんてありました。

きっと、全くふれあいのない人に比べれば、

  それまでのふれあいが多いほど

  その人に好意を抱く

っていう本能が人にはあるんでしょうね。

いや、人だけじゃないですよ。

  犬だって、ふれあったことのある人には

  とても好意を示すじゃないですか!

きっと最初のシーンのせいで、

見ていた私が主人公の望緒ちゃんに親しみを感じちゃって、

その後も望緒ちゃんの立場で考えちゃったから、

  りえちゃんは嫌なやつ

って感じたんでしょうね。

この、

  「親しみを感じる本能」

これは、遠い遠いその昔、

人が獲物を追い求め、集落でみんなが体を寄せ合って生きていたころに、

身に着けた進化の結果としての本能なんでしょうね。

ふれあいの回数が多ければ多いほど、親しみを感じるということですね。

親しみを感じれば、その人のことを守ってあげたくもなるし、応援したくもなるっていうことですよね。

そういえば、誰か

  一人が死ぬのは悲しいけど

  大勢が死ぬのは悲しくない

なんて言ってる人がいましたね。

これ、戦争で大勢の人が亡くなる以上に、自分が知る一人が亡くなる方が悲しい、っていうことを言ってるんですよ。

でもこの話で、亡くなる大勢の人っていうのは、自分にとってほとんど見ず知らずの人なわけで、

逆に、亡くなる一人の人っていったら、自分がよく知る大切な人を意味してるんですよね。

つまり、人数の差っていうわけじゃなくて、心が近いところにいるかどうかで大切さが決まるっていうことじゃないですか。

進化という意味では、

  遠くにいるたくさんの人を大切にするより

  近くにいる少しの知り合いを大切にする方が

  結果的に人類の生存の確率が高かった

っていう意味なんでしょうね。

未分類

Posted by polkasmile